前回の記事では、リード獲得の前提として認知、印象の向上が必要であるとお伝えしました。マス広告を打てる資本のある企業はいいですが、私たちも含めてそうではない環境のマーケターも多いはずです。次善の策で出てくるのがWebの広告ですが、ディスプレイ広告で効果があるのかわかりにくいですよね。
そこで、BtoBデータプラットフォーム「シラレル」のアンケート機能を使ってディスプレイ広告の配信対象者の検討意向と商品理解に変化が出るか検証してみると、特に動画ではなかなか効果があることがわかったのです。
前回のあらすじ
- 営業が求めるリードとマーケターが求めるリードは異なる
- 営業が求めるリードは「すぐに、遅くとも四半期以内に商談化できる企業」
- BtoBマーケティングは数年越しでの商談化も射程に入るので、「ニーズが発生するまでにどれだけ知ってもらうか 」が勝負
- すぐに商談化できる企業を追うことは「自社と同じ製品カテゴリが今すぐ必要で業者のあてがない企業」だけを奪い合うことと同じ。しかし、実際にはすでに知っている業者から検索される。
- 獲得件数とは別に、「自社の商品名を知ってもらうこと」、「自社商品にポジティブな印象を持ってもらうこと」を KPIに置き、まだ不必要なときから認知を向上すべき
- 認知・印象の向上にリスティング広告は不向き。TVCM、サイネージ広告、ディスプレイ広告などが向いている
- 認知・印象の向上施策は検証が難しく手がつけにくいが、測る方法はある
検証で配信した広告
売上1億円以上の企業に対して、動画、静止画の2パターンを配信しました。

※撮影・編集や出演者など、すべて自前で作成
アンケート内容
ディスプレイ広告を配信する傍らで、一定の確率で広告と同じ配信枠にアンケートを表示しています。
広告接触者と非接触者に対して、商品特性認知と利用意向に関する設問を表示しています。


検証結果(速報値)
まだ配信して数週間ですが、現在の認知・印象への効果を集計しました。
静止画、動画の両方で態度変容しており、検討意向は静止画と動画の両方で、特徴認知は動画接触者で上がる傾向が出ました。
「シラレル」のサービス特徴をご存知ですか?(複数回答可)
動画接触したユーザーは非接触者よりも10%多く「シラレル」が「自社商品の認知を上げることができる」という商品特性を認知してくれました。
そして、静止画では動画のように商品の詳しい説明をすることができないため、特徴認知までしてもらうのは難しいことがわかりました。
企業の担当者にリーチできる | 自社商品の認知を上げることができる | 詳細なレポートをもらえる | 知らない | ポジ回答 | 差分(対非接触) | |
---|---|---|---|---|---|---|
静止画で接触 | 0% | 0% | 0% | 100% | 0% | 0% |
動画で接触 | 0% | 10% | 0% | 90% | 10% | 10% |
接触なし | 0% | 0% | 0% | 100% | 0% |
今後、企業向けに集客することになったら「シラレル」を検討したいですか?
広告非接触ユーザーよりも、静止画接触したユーザーは37.5%、動画接触したユーザーでは17.5%検討意向が上がりました。
動画では「一番に検討したい」ユーザーも増えており、商品特性認知と同様により深く説得できるといえそうです。
静止画では「狙った企業に配信する広告」というキャッチーな訴求をしており、商品特徴の理解にまでは至っていないが、その商品のメリットに興味を持ったユーザーが多かったと言えます。
特徴理解より検討意向の方が回答がポジティブであった事に関しては、理解の深さと検討意向が完全に直結しておらず、常に新しい商品を検討したいというマーケター特有の態度から反応が高まったようです。
一番に検討したい | 他の媒体も含めて検討したい | 広告予算が余ったら検討したい | 検討したくない | ポジ回答 | 差分(対非接触) | |
---|---|---|---|---|---|---|
静止画で接触 | 0% | 50% | 0% | 50% | 50% | 37.5% |
動画で接触 | 10% | 10% | 10% | 70% | 30% | 17.5% |
接触なし | 0% | 0% | 12.5% | 87.5% | 12.5% |
ディスプレイ広告でも態度変容する。動画はより深く認知される。
静止画、動画両方でポジティブな態度変容が見られましたが、動画のほうがより深く商品特性を認知していました。
クライアント案件でも関心度が13%アップした事例、好感度が17%アップした事例も存在しています。どれも動画で配信している広告でした。
これらの事例から、検討意向を上げたいならメリットをキャッチーに示した静止画バナーが、より深く商品特性認知も狙うなら動画バナーが有効であることがわかりました。
以上、ディスプレイ広告でも認知度・印象向上は可能という結果になりました。
動画を用意するのはお金がかかる?
ディスプレイ広告の動画程度なら自作するのも手
今回の広告動画は社内で撮影・編集をしました。動画制作のプロがいたわけではなく、ちょっと得意なだけのメンバーです。 制作期間は撮影・素材準備・編集で丸2日くらいです。
現在はスマホでも高画質な動画が撮れますので、小さな画面で表示するには十分な動画が簡単に無料で作れます。
シラレルチームで制作した際の手順を簡単にここで紹介しておきます。
1.絵コンテを作る
制作し始める前に絵コンテを作るのがおすすめです。複数人で制作する際には特にあったほうが良いです。
これにより、どんなストーリーになるのか、どんなシーンの撮影が必要か、どんな部屋・道具・画像素材を用意すべきかが想定しやすくなりスムーズに進むことができます。また、出演してくれる人にもどんな演技をしてもらうかがイラストをとおしてすぐに伝わります。

素人が作った絵コンテのため、再生時間の都合でこの通りのストーリーにはなりませんでした。
しかし、絵コンテがあることで後工程がスムーズに進み、編集時にシーンが不足することもなく、1回の撮影だけで制作することができたので意味はありました。
2.撮影する
場所ごとに必要なカットを絵コンテから抜粋しておき、まとめて撮影しました。全部会社で撮影したので、かかった時間は1時間くらいです。
会議室で撮影 同じ部屋の窓側で撮影 ビルの入り口で撮影
特別な機材も使っていません。撮影はビデオカメラでなく、一眼デジカメの動画機能です。照明も部屋の電気と自然光だけです。
カメラを三脚に乗せて使うとブレずに撮影できました。それくらいです。
3.編集する
あとは、パワポで作成したダミー画面をPDF出力して、吹き出し文字も画像で作成し、編集ソフトで編集しました。
編集次第では、Webサイト用の動画に流用したり、営業資料動画にしたりもできるので、バナー以外の用途でも流用することが可能になります。
RICHKAのように、誰でも知識不要でリッチな動画が作成できる法人向けサービスも存在しています。RICHKAではURLを指定すれば、ページから画像などの素材をすぐに使うことができるので、編集ソフトがない、誰も顔出ししたくないという場合はこのようなサービスを利用して作成するのも良いでしょう。
もちろん、商品イメージにこだわる企業では制作会社に依頼して品質の高い動画バナーを制作するのも良いでしょう。リカイゼンのようにデジタルコンテンツの制作会社を比較できるサービスも存在しています。品質面、費用面で自社に合った条件で動画を制作することが可能です。
広告配信&配信者アンケートで認知度、印象を検証できるのが「シラレル」です

「シラレル」では、広告を配信したい企業や業種、事業規模を指定できるだけではありません。 「どの企業にどれだけ見られたのか」 を配信レポートとしてお届けしています。

さらに、広告に加えてアンケートを配信することで、「広告接触により認知が高まったか」、「良い印象を持ったか」を数量的に計測することが可能となりました。
広告枠の中で数問のアンケートが表示される アンケートでの態度変容レポート
アンケートを取ったことがないという企業様でもご安心ください。組織の状況、マーケティングの目的に合わせてターゲティング設計、設問設計も対応します。
以上、ディスプレイ広告で認知・印象を向上させようとしたとき、ポジティブな効果が出た事例をご紹介しました。静止画と動画のどちらが良いかということでなく、双方に特徴がありました。
静止画 | 検討意向を上げるのに効果的 |
動画 | 商品特性の理解、検討意向をより深めるのに効果的 |
効果を上げるために伝わるクリエイティブを用意できるかが重要なのはもちろんですが、設問設計を間違ってしまうとアンケートで知りたいことが誤って伝わってしまい、正しいアンケート結果が返ってきません。
もちろん、ご依頼いただく企業様には設問設計をサポートさせていただくのでご安心いただきたいのですが、次回は設問での失敗例も含めて、「シラレル」のマーケティングにかかるBtoBの広告運用の中で起こった事象と対応をご紹介していきます。
もしも今の時点で「シラレル」にご興味をお持ちいただけましたら、
営業担当の田島までぜひご連絡ください。